怠惰もしくは楽観 天津風に誘われて 真昼の月を眺めれば 仄かに白い半円の中 ウサギも痩せて物憂げな 視線を寄越してまいります ぴょこんと跳ねよか 跳ねまいか 思案すれども答えは出ずに 吐息にその身を揺らすのは 階（きざはし）昇ろか 降りようか 迷う己とあいまって 含み笑いを誘います 明日の続きは昨日のように くるくる巡るロンドの環（わ） 究理を極める道など知らず 逸楽だけに身をおけば 剥き出しのままの乾いた膚が 痛い痛いとつぶやくばかり 虚無を憂えみ黙想すれば その隠然たるつつましさ 煩労だねと皮肉をこめて 千切れた雲が月ごと隠す ああ 全くこんな日は 鈍る頭に蓋をして 物見遊山と参りましょう ほらほら雲の切れ間から ちらりと覗く白い耳 どうやらウサギは心を決めて ぴょこんと跳ねているようです