眷恋華 つらつら椿 戀しらに 常磐に冴える 鏡葉の 葉越しに揺れる 花の影 つらつら椿 うたかたに 指(および)折りかき 数ふれば 紅(くれなひ)にほふ 花の色　 つらつら椿 つらつらに 思ひ乱れて 寝ぬる夜の 夢のうちにも 花の香(こう) つらつら椿 落ち様に 水輪重ねて にわたずみ 嘆きの空に 花の雨

【眷恋（けんれん）】愛着の思いにひかれること。恋いこがれること。 【つらつら椿】繁ってつらなりあった椿の花。 【恋しら】恋しくて。恋しく思って。恋しいままに。 【鏡葉】表面が鏡のように一面に光沢のある葉。柏、椿の葉など。 【葉越し】葉と葉の間を通してなされること。 葉の隙間から透いて見えること。 【匂う】赤などの鮮やかな色が、光を放つように華やかに 印象づけられること。 【水輪（みずわ）】水面にできる円形の波紋。 【にわたずみ】雨が降ったりして、地上にたまった水。水たまり。