狐福（きつねふく） 光差し添う 日照雨（そばえ）受け 孕む息吹に　背を伸ばし 明日を手繰りて　ときめきを 抱（いだ）く童（わらし）が 虹を吐く 透ける視線は 横豎（おうじゅ）翔け まだ見ぬ感喜 兆し生み 見継ぐえのこは　うらうらと 夢に蕩（つたよ）う　草の原 現未（げんみ）に架かる天弓が 調べ奏でて 七色の 彩り添える萌蘖（ひこばえ）は 彼岸に金の実を結ぶ 穂波の先に懐裡のせ 細鳴（さなり）と揺れる幸魂（さちみたま） 心足る日の面影に 嫁ぐ狐の置き土産

【狐福】思いがけない幸せ。僥倖。 【虹を吐く】意気が大変盛んなことをたとえていう語。元気のよいさま。 【横豎】空間と時間。（「横」は空間的広がり、「豎」は時間的広がり） 【感喜】感動して喜ぶこと。 【見継ぐ】見とどける。見守りつづける。 【えのこ】犬の子。子犬。 【蕩う】はっきりした目的もなくあちこち動く。さまよう。ただよう。 【現未】現世と未来。 【天弓】虹 【萌蘖】新たに芽が生え出ること。また、その芽。 【懐裡】心の中。胸のうち。胸裡。 【細鳴】小さい音。かすかな物音。 【幸魂】人に幸福を与える神の霊魂。